Dual Hookができるまで その3
- fumisound
- 2024年3月6日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年3月12日
当時知っていたその回路の特徴は
フルディスクリートであること
NF(負帰還)がかかっていないこと
ベーストレブルとミドルが連動していること
普通の人では思いつかないであろう回路だと語られていたこと
これぐらいでしょうか。
「よっしゃ!回路解析してやる!!モールドはがしてやる!!!」
と、普通はなってしまうかもしてません。
私の場合はそんなことはせず、もっとアナログに攻めていくことに。
だってご本人の思いがあって隠していますし、ただ回路コピーしたところで何の価値があるのか。いまだにその感覚はわかりません。
その方法は効率的でもなんでもなく、アナログの極致。
ベースを弾きながら、耳でつまみの動きに合わせたカーブをグラフィックイコライザーでマネをできるようにしていきました。かっこよく言えば「回路の前に判断できる耳があった方がいい」、いやただの「気合い・根性・若さ」だったかも(笑)
いずれにせよ測定等の再現性のあるものではなく、耳というかな〜〜〜〜り曖昧なものでEQを作り始めました。
耳なんて思い込みで結果が変わります。
ベースは再現性なんてあるものじゃありません。
つまみをイジってから同じポジションで弾いたとしても、タッチが違う。
設定の変更に合わせて指が勝手に調整しやがります。
出した音のアタックにくる周波数に耳が持っていかれ、どんどん聴き方がわからなくなり。
気づいたら超爆音になっていて耳がやられていたり。
つまみをイジって「うんうん、そうだよね」と思ったらスルー状態だったり。
疲れてくるとシールドささって無いだけなのに、回路が壊れたと思い原因を探し始めたり。
でも、この超非効率な作業からは様々な視点を得られました。
EQだとしてもヘッドアンプが重要なこと
EQする前の周波数別の位相感のほうが重要であること
原音がぐずぐずになっていてはEQしても目指す結果によってはほぼ無意味
変化があったからといってよくはなっていないこと
EQ作っているはずなのに周波数をいじる前段階のほうが重要と気づきますw
音をどの様に変換、増幅していくのか、トータルで考えるとこちらの方が割合が高い。
一回でも音が腰砕けにってしまうと後段では加工が難しいんですね。
4kと320pの感覚に近いのかな?大事なミドルにガッツが欲しいと思っても、そもそもの解像度が甘くなってはもうどうしようもない。
近距離(スタジオやレコーディング)では割といいのに、長距離(ライブ等)では音がさっぱり聞こえなくなるのもこれが起因していることがあります。
その感覚に気づかないと、それを基盤にしてあれやこれやと加工してしまいとんでもないものができてしまうという訳です。
もちろん半導体だけではなくコンデンサなどのパーツも重要。
ただパーツ類の変化は「変化があったから良くなった!」と勘違いしやすい難しいところです。アンプだけではなく、楽器のパーツにも言えることです。
この超非効率の結果、左耳はローの感度が悪くなり、覗き込みながらの作業を超長時間やっていたせいで頸椎ヘルニアになって左腕が上がらなくなりました。
でも、経験が今でも生きています。
無駄とも思えるものを本気でやれるっていいですよね。
そんなこんなしながら、フラ~っと行っては単機能プリやHookerの前身をご本人に弾いてもらっていました。
実はFETもらったり、アクセラレータの定数は直接教えてもらってます。もちろんFETの刻印は消してありましたし、アクセラレータは完全コピーとして販売したりは絶対しません。
こんな実験に優しく付き合ってくれて、アドバイスまでいただけるのは本当にありがたくて。こういうのがほんとの財産かもしれません。

もって行ったのは多分これじゃないかな
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